チンパンジーを観察し、ヒトとの共通祖先の姿を探る |
40年以上も野生チンパンジーの生態を観察しつづけてきた著者ならではの、平明で深い分析と貴重な写真53点を満載。
野生チンパンジーの魅力を語り、ヒトとの共通祖先が持っていた行動を再構成し、現代の文明批判を展開する。 |
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いのちの科学を語る……4
チンパンジーの社会
西田利貞 著 |
四六判・ソフトカバー・206頁 |
定価 本体1,500円+税
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ISBN978-4-86249-128-2 |
2008年 7月 刊行 |
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「いのちの科学を語る」というシリーズの最終巻になります。
以前のは、 |
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はじめに
第1章 なぜ、野生のチンパンジーを研究するのか──「共通祖先の復元」をめざして人類の祖先の姿をさぐるために/人間とチンパンジーは非常に近い生き物/日本の霊長類研究はニホンザルから始まった/血縁が社会を形作る/ニホンザルは「メス社会」/サルを顔で見分けたのは、日本が最初/海外の大型類人猿の研究へ/調査隊員となってタンザニアへ/チンパンジー餌づけの試み/餌づけに成功するまで/餌づけから追跡調査へ/餌づけの悪影響/長期観察でわかってきたこと
第2章 チンパンジーの集団について──集団内での関係、集団同士の関係チンパンジーに「家族」はあるのか?/「家族」が見当たらない/「そんなことはないだろう!」/「家族」とは何か?/新たなチンパンジー集団の出現/発見──集団どうしは敵対的/発見──チンパンジーはメスが移籍する/ヒトもチンパンジーも父系社会/ヒトとの共通点──オス同士の連帯/消滅してしまったKグループ/Mグループと
の「仁義なき戦い」?/Kグループの最期
第3章 チンパンジーの集団について──集団内での関係、集団同士の関係チンパンジーに「家族」はあるのか?/「家族」が見当たらない/「そんなことはないだろう!」/「家族」とは何か?/新たなチンパンジー集団の出現/発見──集団どうしは敵対的/発見──チンパンジーはメスが移籍する/ヒトもチンパンジーも父系社会/ヒトとの共通点──オス同士の連帯/消滅してしまったKグループ/Mグループとの「仁義なき戦い」?/Kグループの最期
第4章 チンパンジーの一生──オスは出世競争、メスは年功序列赤ん坊期は頼りない/チンパンジーの子供はすべて自分で見て学ぶ/三歳ごろから自分で食べ物を判断/子供はみんなが面倒をみる/背中に乗りたがる子供、乗せない母親/離乳期の終わり/「狩り」は若者にならないとできない/獲物は若者以下のサル/道具を使って食べる食べ物/どのメスよりも上位になるのが、大人のオスの条件/老年期のチンパンジーは/メスの一生は/メスの順位は年功序列
第5章 一日の生活と性行動──食事と睡眠が中心の生活、交尾時間はわずか七秒太陽と共に起き、眠る/木の上でベッドを作って寝る/アフリカ人の動体視力の凄さ/夜中の交尾はあるか?/チンパンジーは「早撃ち」/ほとんどが「無駄撃ち」
第6章 チンパンジーの食生活──一日二回、集まらないけど同時に食事同時刻にバラバラに食事する/どんな食べ物を食べるか/肉は誰に分配するか/小さな果物や葉は分配しない/チンパンジーの「ごちそう」は?/味覚はヒトに近い/「旬」を覚えている/共通祖先も食事は一日二回?
第7章 チンパンジーの食生活──一日二回、集まらないけど同時に食事同時刻にバラバラに食事する/どんな食べ物を食べるか/肉は誰に分配するか/小さな果物や葉は分配しない/チンパンジーの「ごちそう」は?/味覚はヒトに近い/「旬」を覚えている/共通祖先も食事は一日二回?
第8章 「騙し」と「遊び」──詐欺も戦争も太古の昔から?チンパンジーの詐欺事件?/子供が母親をあざむく/お姉さんのいじわる/興味深い「落ち葉かき遊び」/ビデオ使用の利点と問題点/年上の子供が「手加減」する/集団遊びは戦争の起源か?/「ルール」を作って遊んだ例/人間のいじめ問題の原因は /人間の集団社会の急変/共通祖先以来の集団社会の崩壊
第9章 チンパンジーの森と地球を守るために──持続可能な社会と地球人口問題エコツーリズムで類人猿の生態に触れる/チンパンジーを見たことがなかった村人/エコツーリズムの問題点と意義/ヒトとチンパンジーと森の共生/贅沢になりすぎた先進国の生活/生物多様性保全のためには、少子化歓迎/多様性のない地球では意味がない
参考文献/あとがき |
にしだ・としさだ…1941年千葉県市川市生まれ。'63年京都大学理学部卒業、'69年京大大学院理学研究科部動物学専攻博士課程修了。理学博士。東京大学理学部人類学教室助手、同講師、助教授を経て、'88年京都大学理学部動物学教室教授。2004年3月京都大学大学院理学研究科停年退官。京都大学名誉教授、(財)日本モンキーセンター所長、現在に至る。国際霊長類学会会長、日本霊長類学会会長、マハレ野生動物保護協会会長(1994~)などを歴任。野生ニホンザルの生態学的研究を皮切りに'65年以来タンザニアで野生チンパンジーの行動学的・社会学的研究に従事。'90年ジェーン・グドール賞、'95年大同生命地域研究奨励賞、'08年国際霊長類学会生涯功労賞受賞。また今年秋には人類起源研究の分野で最高賞とされるリーキー賞を受賞する。著書に『マハレのチンパンジー』(京都大学学術出版会)、『動物の「食」に学ぶ』(女子栄養大学出版会)ほか多数。 |