弘法大師空海の、即身成仏思想、十住心の根拠、秘密荘厳心などの原点となった龍猛造・不空訳『菩提心論』を本文、解説、現代語訳、論考で詳述。テキスト、関連論文六篇を付す。
空海の思想基盤となった『菩提心論』はまた、著者の研究の原点でもある。 |
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菩提心論の解明
北尾隆心(著) |
A5判・上製・281ページ |
定価
(本体5,000円+税) |
ISBN978-4-86249-398-9 |
2020年 10月 刊行 |
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■主要目次
解説編
第一章 題名
第一節 本題/第二節 副題/第三節 作者/第四節 訳者
第二章 序論
第一節 密教を学ぶ者の条件/第二節 発心の意義/第三節 もう一つの発心/第四節 発心の必要性/第五節 三種菩提心
第三章 行願段
第一節 行願とは/第二節 利益とは/第三節 安楽とは
第四章 勝義段
第一節 勝義とは/第二節 凡夫の生き方/第三節 外道の教え/第四節 二乗の教え/第五節 大乗の教え/第六節 旨陳の解説/第七節 勝義と行願の重要性/第八節
経典による経証
第五章 三摩地段
第一節 普賢大菩提心/第二節 日月輪観/第三節 月輪について/第四節 三十七尊について(一)―五仏と四波羅蜜菩薩―/第五節 三十七尊について(二)―十六大菩薩―/第六節
もう一つの十六の意義/第七節月の十六分/第八節 阿字の発動/第九節 阿字の五転と四仏知見―『大日経義釈』からの引用―第十節 『菩提心論』の大事/第十一節
阿字観について/第十二節 三密行と五相成身観第十三節 さとりの徳のすがた
第六章 結論
第一節 三摩地の必要性(一)―問答決疑―/第二節 三摩地の必要性(二)―その経証―/第三節 菩提心の功徳
付録 『菩提心論』テキスト
論文編
一、『菩提心論』の成立について―特に思想背景について―
一、引用経論/二、『菩提心論』と『観無量寿経』/三、『菩提心論』の系統(一)―『金剛頂経』系について― 四、『菩提心論』の系統(二)―『菩提心論』と『破地獄儀軌』―
二、「日輪観」について
一、「日輪」について/二、「日輪観」について/三、日本における「日輪観」
三、「菩提心論灌頂印信」について(一)
一、菩提心論灌頂印信/二、阿字観/三、『菩提心論』/四、金剛縛
四、「菩提心論灌頂印信」について(二)
一、金剛縛=外縛/二、金剛縛=内縛/三、外縛と内縛
五、「円明」について
一、頼瑜の「円明」解釈/二、『大日経』、『大日経疏』にみる「円明」/三、「円明」の性格
六、『大乗密厳経』について―『密厳経』と『大日経疏』―
一、『大日経疏』と『密厳経』/二、「三品悉地」/三、「三品悉地」と『密厳経』 |
きたお・りゅうしん…1957(昭和32)年、京都生まれ。1981(昭和56)年、種智院大学卒業。1987(昭和2)年、大正大学大学院博士課程真言学専攻修了。種智院大学専任講師を経て、2004(平成16)年に同大学教授となる。種智院大学宗教部長、種智院大学図書館・学術情報センター長等を歴任し、現在、種智院大学教授、種智院大学密教資料研究所所長。日本印度學佛教學会理事・評議員、日本密教学会常任理事、智山専修学院講師、智山講伝所専門員、川崎大師教学研究所教授など。真言宗智山派最勝寺住職。
著書に『密教瞑想の研究―興教大師覚鑁の阿字観―』(東方出版)、『道場観等観想図解説』(東方出版)、『報恩院流相承覚眼記『秘鈔伝授記』―付『諸尊護摩鈔伝授記』』(法藏館)、『密教瞑想入門阿字観の原典を読む』(大法輪閣)、『空海コレクション2』(共著・ちくま学芸文庫)など多数。 |