1968年3月、ベトナム戦争に従軍していた米兵が我が家に来た。彼は脱走兵のキャルだった。そして48年後アメリカで再会を果たす。当時のベ平連やジャテックの活動等を含め、その間の事情や再会までを描く。2016年に部落解放文学賞ノンフィクション部門に入選した作品に大幅に手を加えまとめた。この物語は、戦争法案が成立した今の日本の状況を照射している。 |
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我が家に来た脱走兵
一九六八年のある日から
小山帥人 著 |
四六判・並製・204頁 |
定価
(本体1,500円+税) |
ISBN978-4-86249-384-2 |
2020年 1月 刊行 |
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■主要目次
第一章 早春の夕暮れ
1 背の高い青年/2 ベトナム戦争/3「 イントレピッド4」/4 ベトナム戦争とメディア
第二章 我が家に来た脱走兵
1 母の秘密メモ/ 2 キャルの脱走声明/ 3 我が家での討論/4 家族への想い/ 5 こっそり京都の繁華街へ/ 6 かくまった人たちは沈黙を守った
第三章 脱走期間のキャルの行動
1 ベ平連との連絡/ 2 キャル、大阪に移動/ 3 脱走兵を預かった大阪の人たち/4 キャル、京都や大阪にかくまわれる/ 5 我が家に来たことの記述/6
奈良での生活/ 7 少女の日記/ 8 再び東京へ/ 9 根室から漁船に乗って脱出/ 10 ソ連船に乗り移る/ 11 モスクワでの生活
間奏曲 シャンソン「脱走兵」
第四章 脱走を伝えたメディア
1 アメリカ:家族は死んだかと心配した/ 2 日本:犯罪扱いの新聞記事
第五章 キャルを探して
1 脱走兵の映像の上映/ 2 キャルはどこにいるのか/ 3 キャルからの手紙/4 キャルとの電話
第六章 再会
1「 オハヨー」と日本語で/2 キャルがたどった軌跡/3 スウェーデンでの恋/4 アメリカでの尋問/ 5 スウェーデンで銀行強盗/ 6 帰国後の生活/7
四八年前の嘘/ 8 キャルと会って/ 9 夕暮れの浜辺
参考文献 |
こやま・おさひと…1942年生まれ。京都・竹田育ち。1964年から2002年までNHK大阪放送局で映像取材を担当し、人工呼吸器をつけて学校に通う少女『歩ちゃんと30人の仲間たち』などのドキュメンタリーを企画、取材。著書に『市民がメディアになるとき』(書肆クラルテ)、共編著『非営利放送とは何か-市民が作るメディア』(ミネルヴァ書房)など。 |