加持の法具である密教法具は、衆生(=行者)の即身成仏を助けるための如来大悲の象徴である──密教法具にこめられた意義と作用を、主に在家の人びとを対象に詳細に解説。併せて読経の大切さについても平明に説く。
口絵カラー一葉。
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密教法具に学ぶ
付 読経の精神と功徳
今井 幹雄著
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四六判 225ページ 上製 |
定価
(本体3,000円+税) |
ISBN978-4-86249-469-6 |
2025年 8月 刊行 |
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目次
I 修法道場は荘厳された生命の世界
密教寺院は何故薄暗いか/青年修行僧の思い出/須弥壇上は 生命の種々相宮殿──精神の具象化
餓鬼の棲家は諸々の不浄所 秘仏──絶対を象徴するもの 絶対は眼に見えない/仏の真身は見ることが出来ない/
現象は皆如来である/拝むことによって仏になる
Ⅱ 密教法具に秘められている加持の真理
加持──仏の力を戴く秘法
真言宗は加持の法門/智慧と慈悲を象徴するもの/仏の慈悲と衆生の新人を表す/供養腹三日は仏の慈悲
脇侍──智慧と慈悲の象徴何故に「如来の大悲」か/文殊は足に利剣を執るか/般若とは「如」に達する智慧/魔の宮殿を崩壊させる仏智/慈悲の悲は智慧の悲しみ/大悲とは智慧ある慈悲/ほか
大壇──金剛堅固の法域
菩薩永劫修行の道場/曼荼羅とは何か/荘厳とは拝むことである
結界──求道心が築く法域
求道心の有無を問う結界/金剛軍荼利と毘那耶伽/行者の妄念
に呼応する魔性たち
金剛橛──求道心を支えるもの
金剛橛と金剛線/五種結界が意味するもの
多宝塔──精神の尊厳の象徴
法身の舎利を納めるもの/大地こそ仏法の基盤/何故大日如来は
ア字であるか/舎利塔が意味するもの
五瓶花──生命の花を開かせるもの
水は何故に宝珠であるか/何故に宝瓶であるか/龍とは衆生の業
である/五色とは仏の慈悲を表す/ほか
輪宝──煩悩即菩提の説法
羯磨──仏凡一如の事業完成
Ⅲ 加持の法力を象徴するもの
礼盤──菩薩の台座修法者は菩薩である
塗香──三業の垢穢を断除するもの垢穢を浄める戒律
洒水──生命を潤すもの慈悲の水を流出する智慧/水中の垢穢を焼尽するもの
六器──仏に捧げる六種供養仏への供養は自らの修行
六種の供養の意味するもの
焼香の功徳─如来無碍を得る/閼伽の功徳─煩悩罪垢を洗う/
塗香の功徳─心身清浄となる/華鬘の功徳─わが身を美しくする/
飲食の功徳─心身を養う/灯明の功徳─智慧増長するもの
金剛杵──加持力の象徴
金剛盤─菩提心の象徴
五鈷杵──加持力を戴くもの
如来の大悲とは何か/仏の智慧と衆生の煩悩と/煩悩を摧破するもの
三鈷杵──三業を浄めるもの
読経とは仏となることである
独鈷杵──勇猛精進を象徴するもの
金剛鈴──人語を超える説法
付 読経の精神と功徳
死ねばお経の意味が判るか?/死者は読経を喜ぶのか?/読経の意義は想念の浄化/写経の尊さ/僧の本義は一味和合/読経とは聞くことである/如是我聞は帰依の表現/読経は仏道修行の基盤菩薩・天衆に囲繞されて/読経は自受法楽である/仏法に過去の罪報はない/顕教諸経典の特徴/説法は菩提心を聴衆とする/如来との邂逅/『理趣経』の特異性/『理趣経』の聴衆は菩薩のみ/加持祈祷の原点/菩薩となって読経する/六欲天の風光/誓願によって菩薩となる/読経は即身成仏を体現する/鬼神とは何か/現世を現出せしめる想念/庶民の悲惨を語る『秘鍵』後書/王朝の雅の背後にあるもの/鷲峯説法の意義/回向の大事/ほか |
今井 幹雄 (イマイ ミキオ) (著)
宗教紙『六大新報』主幹を長く務めた。著書に『修法』『それ迷信やで』『秘境 邪馬台国─仏教者が見た神話と古代史』『人生護身術道場─仏の智慧は最高の武器』『沈黙の菩薩─医療と宗教の狭間で』『観世音菩薩物語─淀姫大明神霊験記』『真言宗昭和の事件史』(以上、東方出版)などがある。2008年逝去。 |
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