横浜生まれの不良少年が大阪・釜ヶ崎に流れ着くまでの波乱の人生を赤裸々に描く児童養護施設・日本水上学園での生活、タバコ、シンナー、窃盗。日本社会事業大学を出て身体障害者授産施設へ就職した後、キャバクラ業界に転身。アルコール依存、サラ金の多重債務、自己破産、結核。会社の金を持ち逃げして釡ヶ崎へ。逮捕されるも、起訴猶予で釈放。以後釡ヶ崎に根付く。宮本(通称・新井)信芳の人生遍歴は昭和から平成の、一つの社会・世相史でもある。 |
|
釜ヶ崎に、グランマ号上陸す
宮本信芳 著 |
四六判・並製・266ページ |
定価
(本体1,727円+税) |
ISBN978-4-86249-427-6 |
2022年 5月 刊行 |
|
■目次
目次
日本水上学園・非行少年編―チェ・ゲバラとの出会い
一九六八年~一九七九年 六才~十七才
飯場の坊ちゃん/母の結核と十円ハゲ/日本水上学園/猿小屋とジュン君/ボール、フォアボール/タバコの練習/港中学モザイク事情/水上学園窃盗団/出場辞退する/コックリさん/クリキン先生/バッチコーイ!/F君へのイジメ/船の家/アンパン小僧/市営住宅の青畳/体操部を選んだものの/軟式野球部結成/父の死と母の錯乱/チェ・ゲバラとの出会い/暗転/偏差値は浪人必至
学生運動・福祉労働編―チェ・ゲバラとの蜜月
一九八〇年~一九八九年 十八才~二十七才
いざ、社事大へ/倉田小屋と全盲の落合さん/管制塔戦士に憧れて/男子寮入寮/カナンの同窓会/ハンガーストライキ/廃寮反対全共闘/団交の行方/自治会委員長になる/身世打鈴/福祉実習/留年と結核発病/東京コロニーに拾われて/組合が加入を拒否/印刷屋修行/修善寺ストリップ/落合さんからの特命/結核とハンセン病
キャバクラ・結核病棟編―チェ・ゲバラの封印
一九八九年~二○○五年 二十七才~四十三才
キャバクラで働く/武富士、アコム、レイク/新天地、上野サンライズへ/京本店長の教え/ナンバーワンの資質/再現 当時僕が作った 指名が増える虎の巻/浅草・私的交際の代償/ソープのお手伝い/牡丹峰/サラ金の上客に/荒川区教委とやり合って/乱闘の結末/結核での入院/病室を抜け出して/京本部長との対立/本社勤め/自己破産/朽ちた杵柄
逃亡生活・釜ヶ崎編―チェ・ゲバラの忘却
二〇〇五年~二○一一年 四十三才~四十九才
人生のリセットボタン/空想から実行計画へ/ダミープロフィール/福祉マンション・ファミリア/ゴキブリの絨毯/「ぬし」の正体/貯金大作戦/グチは出るけど/SHINGO★西成/通称「天ぷら屋」/順風満帆/東京から来た刑事/留置番号二十一番/青木弁護士登場/取調室/護送/ギンブチ検事/まさかの
三・一一の衝撃・グランマ号の船出編―チェ・ゲバラとの邂逅
二○一一年~二○一五年 四十九才~五十三才
飯舘村の長谷川健一さん/自分の言葉(新井新聞)創刊/越冬闘争と夏まつり/勝利号、明治公園へ/狭山再審の石川一雄・早智子夫妻/加藤登紀子さん、三角公園に降りる/活動優先で居酒屋は/クリキンへの電話/学生運動仲間とも/こどもの里と阿修羅さん/グランマ号の船出
前書きなど
業務上横領の前歴を、「人生いろいろ」と受け流してくれた釜ヶ崎の活動仲間や酒飲み友達の皆さん。釜ヶ崎に帰ってきて良かったです。(略)
天国でも地獄でもない釜ヶ崎ですが、町は大きく変わりつつあります。
それでも、「釜ヶ崎に行けば何とかなる」という町であり続けて欲しいと思います。例えば、僕がそうであったように。
「あとがき」より |
|
宮本 信芳 (ミヤモト ノブヨシ) (著)
1962年横浜で土建屋宮本組の三男として生まれる。宮本組の倒産、両親の結核での入院により、小学五年から中学二年までを児童養護施設・日本水上学園で過ごす。退園後、高校二年の停学処分中に三好徹著「チェ・ゲバラ伝」を読み感銘を受け、目覚める。1980年、日本社会事業大学・社会福祉学部に入学。男子寮廃寮反対闘争ののち、学生自治会委員長を務める。卒業後、身体障害者授産施設・東京コロニーに就職。四年で退職し、以降をキャバクラ業界で過ごす。
アルコール依存、サラ金多重債務による自己破産等を経て2005年、キャバクラ会社の金を持ち逃げ。半年後には金を使い果たし大阪・釜ヶ崎に流れ着く。立ち飲み屋台で再起をはかるも2010年に逮捕。示談成立で不起訴処分となり釜ヶ崎に戻る。2011年の3.11の福島原発事故を契機に、「新井新聞」の発行・社会的活動を再開。2015年に居酒屋グランマ号をオープン。現在に至る。 |
|