文在寅・金正恩・トランプ、非核化実現へ |
間違いなく、朝鮮半島に新たな平和の時代が訪れようとしている。4月28日板門店南北首脳会談、6月12 日シンガポール米朝首脳会談。この朝鮮半島の劇的変化を、半島の恒久的な平和体制を実現する絶好の機会と捉え、両首脳会談の意義、北朝鮮核問題をめぐる経過を追う。巻末に「資料編」として、主要語句の解説を付した。核のない朝鮮半島、平和な東アジアを実現する議論の叩き台として提示する。 |
|
朝鮮半島未来を読む
金 光男 著/川瀬俊治 聞き手 |
A5判・並製・158ページ |
定価
(本体1,500円+税 ) |
ISBN978-4-86249-346-0 |
2018年 10月 刊行 |
|
■主要目次
第1 章 いま、何が起きているのか
南北首脳会談、朝米会談を生み出した韓国民衆
「朝鮮半島にもはや戦争はない」/朝鮮半島の情勢まで変えた
キャンドル市民革命は何をもたらしたのか
積み重ねてきた民主化の結果として/非核化と平和体制が導くもの
最大のカベ、対立点は何か
シンガポール米朝会談を否定する動きをどう見るか/板門店宣言はなぜ原則的な合意レベルなのか
過去の南北首脳会談との違いについて
公開された首脳会談のねらいは何か
第2 章 板門店南北首脳会談、宣言を問う
「平和の新たな始まり」
韓国政府が描いた未来
北朝鮮の対話路線について
韓国は北朝鮮の変化をどう読んだのか/北朝鮮の対話路線の転換について
板門店宣言をどう読む
朝鮮戦争終結宣言を目指す/四者会談か三者会談か/国民が主人公―憲法改正の取り組みへ
強固な平和体制を築く取り組みについて
軍縮への期待/南北間の連絡はスムーズか
統一問題について
板門店宣言第一条第一項を読む/文在寅大統領―済州島四・三民衆蜂起(事件)七〇年慰霊祭でのメッセージ
/非核化の原則的な合意から一歩も出ないことへの懸念
第3 章 六者協議―成立と挫折
ジュネーブ合意前史を検証する
北朝鮮の核開発はどうした歴史を歩んだのか/第二ラウンドの朝米協議―四項目の合意事項
朝鮮半島の第一次核危機からジュネーブ合意へ
クリントン政権は核攻撃を準備/クリントン政権下で朝米改善進む/ブッシュ政権で霧散した核計画放棄のシナリオ
/本格化する北朝鮮のウラン濃縮計画―ブッシュ政権との対立が背景
六者協議はなぜ結実しなかったのか
ブッシュ政権の対北朝鮮政策を検証する/ 2005 年「9・19 合意」の具体化へ/国連安保理決議から六者協議再開まで
/ 2006 年「2・13 合意」は2005 年「六者協議9・19 合意」の具体化/日本は六者協議でどのような働きをしたのか
オバマ政権の対北朝鮮
戦略的忍耐論の登場/なぜ「2・29 合意」が破棄されたのか
第4 章 朝米シンガポール共同声明―不信から信頼
朝米会談をどう評価するか
敵対、相互不信からの脱却/「朝米シンガポール共同声明」四つの特徴
米国にとっての入口が北朝鮮にとっての出口
対局の朝米の核交渉戦略/国連安保理制裁決議の解除時期をめぐり/米国メディアの批判の原点は
/失敗に過去を繰り返すことはないのか
東アジアの平和構築を目指して
明言していた朝鮮戦争終結は会談でふれず
東アジアの安全保証体制の変化と駐韓米軍
「朝鮮半島非核化共同宣言」を実行に移す時が来た/韓米同盟の検討と調整が議論される
北朝鮮の人権問題について
深刻な人権問題の解決―迫り方について/北朝鮮へのバイアスについて考える
第5 章 北朝鮮の核と日本
北朝鮮はなぜ核保有をしたのか
恐怖の米国の軍事力/ 2016 年、17 年の米朝核対決をどうみる
北朝鮮の経済政策はどこに向かうのか
過去の失敗に学ぶ文在寅政権の取り組み/北朝鮮―経済制裁が解除されないジレンマ
/「先軍政治」と並行した経済システムの改編へ/北朝鮮軍部の今後
/北朝鮮は核保有国にとどまるのではないか/完全な非核化への道―六者協議を再度登場は可か
日本の北朝鮮政策は変らざるをえない
安倍首相の政策に変化が/拉致問題の解決をどうするか
在日朝鮮人問題について
南北交流がもたらすもの
難関を乗り越える
難関を乗り越えて朝鮮半島の完全な非核化と平和を |
|
キム・クアンナム…1950年、在日韓国人2世として大阪市で出生。在日韓国青年同盟大阪府本部委員長、中央本部委員長を歴任し、1990年に在日韓国研究所を設立。海外コリアンの交流を目的にしたGlobalKorean
Network事務局長、金大中政府時代に韓国民団兵庫県本部事務局長。現在は在日韓国研究所代表として、朝鮮半島の情勢分析、そして韓国と日本の労働・市民社会交流を行なっている。
かわせ・しゅんじ…1947年、三重県伊賀市出身。奈良新聞記者をへて1999年まで解放出版社職員、現在フリージャーナリスト。2018年の著述に編者『琉球独立は可能』(解放出版社)、「セウオル号沈没事件と原発輸出」(『現代思想』9
月号)など。 |
|