日本の奈良時代を焦点として、大陸や半島との交流の中で、人々はどのような衣服を身につけていたのか。神仏像、墳墓の壁画、正倉院御物、万葉歌などを手がかりに、服飾の形や文様と意味を考究。服飾・歴史・地理・民俗・文学等の研究者による議論の成果。 |
Diverse Aspects of Ancient Costume |
古代服飾の諸相
舘野和己・岩崎雅美[編] |
A5 判・上製・カバー装・358 頁 |
定価 本体8,000円+ 税
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ISBN978-4-86249-141-1 |
2009年 5月 刊行 |
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■主要目次
序 舘野和己(奈良女子大学文学部教授)・岩崎雅美(奈良女子大学生活環境学部教授)
第一章 古代日本とその周辺
中国古代染織品の文様表現について──長沙馬王堆一号漢墓を中心に 水野夏子(大阪城南女子短期大学非常勤講師)
はじめに/一 馬王堆一号漢墓の雲気表現/二 染織品の雲気文/三 染織品の菱形文/むすび
古代服飾にみる左衽──神像を中心に 馬場まみ(華頂短期大学教授)
はじめに/一 奈良時代における左衽の服装/二 平安時代における左衽の服装/むすび
統一新羅時代の女性服からみる韓服の特徴について──裳(裙)と袴を中心に 黄貞允(釜山大学校韓国伝統服飾研究所研究員)
はじめに/一 高句麗の裳(裙)と袴/二 新羅・統一新羅の裳(裙)と袴/三 高麗時代の裳(裙)と袴/結びにかえて
古代女性の袴と裳 岩崎雅美
はじめに/一 袴について/二 褶について/三 裙について/四 裳について
第二章 奈良時代の服飾文化
古代の祈りのかたち──『万葉集』の祈りの歌と摺り衣について 楢﨑久美子(広島女学院大学講師)
はじめに/一 祈りと『万葉集』/二 『万葉集』からうかがえる祈りの姿/三 祈りの服~摺り衣~/むすび
『万葉集』に連なる古代の玉 楢﨑久美子
はじめに~古代における玉とは~/一 『万葉集』に登場する玉/二 枕詞に見られる「たま」/三 「たま」の表記と詠み手について/むすび~歌から見えてくる万葉人の玉への想い~
法隆寺五重塔塔本塑像にみる女性像──服飾からの考察 馬場まみ
はじめに/一 女性像の服装/二 中国における半臂/三 日本における 襠衣/むすび
『続日本紀』にみる服飾 飯島礼子(奈良県立美術館学芸員)
はじめに/一 『続日本紀』に見える服飾の記述/二 『続日本紀』を通読して~むすびにかえて~/
【資料】続日本紀に見える服飾関連記事
筒袖と大袖考 岩崎雅美
はじめに/一 散楽の服装と筒袖/二 戯画にみる袍の服装/三 奈良時代の袖丈の変化/四 中国大陸における
歴史的な大袖衣/五 仏教の図像にみる大袖/六 正倉院所蔵の垂領・大袖の衣/おわりに
第三章 甦る奈良時代の服飾
近代における風俗史研究──古代服制研究の意義 馬場まみ
はじめに/一 近代における歴史研究と風俗史研究/二 古代服制研究の意義/三 服制研究の活用/むすび
近代制服にみる奈良朝デザイン──東京美術学校の制服誕生とその波及 岩崎雅美
はじめに/一 東京美術学校の制服/二 法服における奈良朝のデザイン/三 京都市美術工芸学校の生徒の制服/四 奈良女子高等師範学校教官の職服/むすび
小袖模様にみる奈良 岡松 恵(奈良女子大学大学院博士後期課程在籍)
はじめに/一 奈良の名所模様/二 三輪の模様/おわりに |